【女の事件】豚小屋

第3話

(ドカッ!!ドカッ!!ドカッ!!ドカッ!!)

さおりが強烈なレイプの被害を受けた事件の翌日のことであった。

家の土蔵の中で、サンドバッグを殴り付ける音が響いている。

直家とりつよ父娘は、さおりを強烈な力で犯した男は淵埼の知人の男だと決めつけて、淵埼により強烈な力で殴るけるを加えて、より重たい重量のくさりでしばりつけた。

重たい重量のくさりにしばりつけて、天井にぶら下がっている淵埼に対して、直家父娘は恐ろしい目つきで言うた。

「さおりを強烈な力で犯してボロボロに傷つけた…法が許してもわしらは許さん!!」
「そうよ!!あんたはこの土蔵で一生を終えるのよ!!分かったわね!!」
「オドレ淵埼!!」

直家は、さらに硬い棒で淵埼の頭を殴りつけた。

ボロボロに傷ついている淵埼は、殴り返す力を完全に喪くして(なくして)いた。

淵埼は、より重たい重量のくさりで天井から吊り下げられたまま土蔵から出ることができなくなった。

りつよは、午後1時頃に普段通りにパートへ行った。

しかし、りつよの心は大きく壊れていた。

りつよが淵埼にどうして強烈な暴行を加えていたのか?

そういった深刻な原因は、22年前に淵埼が幼稚園に通っていた時にあった。

りつよは、問題の幼稚園に先生として来たのがその時であった。

りつよは、腹が立つことがあれば淵埼に暴力をふるって、幼稚園内にある暗い部屋(教会のザンゲ室)に閉じこめて放置して帰宅することを繰り返していた。

淵埼は、小学校入学から高校中退までの間にきついいじめに遭っていた。

それが原因で、対人関係がキハクになった。

家庭内でも、両親やきょうだいたちや親族たちからも疎まれて孤立していたことも起因していたから、生きて行く気力を喪くしていた。

ぼくは…

生まれた時から…

生きて行く資格なんかないのだ…

土蔵に監禁されて、一生出ることができなくなった淵埼は、日をおうごとに体力が弱っていた。

さて、その一方であった。

直家の家族たちは、さおりが強烈なレイプの被害を受けたことが原因で、心身共にボロボロに傷ついているのに、両親となおみは自分たちの仕事のことしか頭になかったので、さおりと家族の人間関係は大きく壊れた。

両親は『仕事仕事仕事仕事仕事仕事仕事…』『1円でもいいからお給料を上げたい。』とばかり言うて、さおりのことは二の次三の次て後回し…

特にりつよは『パートよりも正社員として働きたい。』という思いを強めていた。

だから、仕事が最優先でさおりなんかどうでもいいとイコジになってた。

なおみは、レポートの提出期限を気にしながらバイトをしていることがイヤだと言うてイラついていた…

直家は、気に入らないことがあるごとに土蔵へ行って淵埼に強烈な暴行を加えて、うさばらしをしていた。

恐怖心をつのらせていたさおりは、祖父と両親となおみとの間に深いキレツを作った上に、学校にいる生徒たちとも深刻な対立をくり返すようになった。

6月26日のことであった。

この日、なおみが通っている通信制大学のスクリーングに行く日で、レポートの提出期限であった。

しかし、レポートが間に合わなかったことと大学の勉強が苦痛になっていたので、やめることにした。

ところ変わって、松本市旭にある通信制大学の指定校にて…

レポートを提出した後、スクリーングに行く学生さんたちがキャンパス内にたくさんいた。

なおみは、大学をやめる手続きをとった後、キャンパスを出ようとしていた。

そのときに、なおみは、友人の女性に呼び止められた。

「なおみ…ねえなおみってば!!」
「なんなのよぉ…」
「なおみ…あんたさっき通信制の事務局へ行ってたよねぇ…一体どうしたのよぉ…」

友人からの問いかけに対して、なおみは怒った口調で言うた。

「なんであんたがそんなことを気にしているのよ!!」
「どうしてそんなに怒るのよぉ…アタシは心配になっていたから聞いただけなのよぉ…」
「アタシね!!やめるから!!」
「やめるってぇ?」
「バイトが急に忙しくなったからやめるのよ!!」
「そうなの?」
「ええ、そうよ!!働きながら学ぶことが苦痛になったからやめるのよ!!」
「なおみ、ねえなおみ。」
「何なのよ!!」
「これからどこへ行くのよ?」
「飯田へ引き返すのよ!!」
「これから飯田へ帰るの?」
「そうよ!!」

なおみがこれから飯田へ帰ると言うたので、友人の女性は煮え切らない表情になっていた。

だからなおみは、ますますイラついた表情になっていた。

「あのね!!アタシは早く帰らないとバイトの時間に遅れてしまうのよ!!4時から入ってくれと店長から言われているのよ!!」
「バイト?」
「そうよ!!」
「どうして休みをとらなかったの?」
「休みくださいとお願いしたわよ!!だけど店長が『困る困る困る困る困る困る困る困る困る困る…』って女々しい声でアタシに連呼したのよ!!他の従業員さんが『デートのヤクソクがあるから休ませてください…』などと言うて勝手に休んだから、人手不足で困っているのよ!!」
「本当に?」
「アタシがウソをついていると言いたいのかしら!!」
「そんなつもりで言うたのじゃないのよぉ。」
「アタシは、早く帰らないとバイトに遅れるのよ!!」
「わかったわよぅ…それだった、あと5分か10分だけでも大学にいるということはできないの?」
「列車に乗り遅れるから帰してよ!!乗り遅れたら、塩尻で乗り継ぎの列車に乗れなくなるのよ!!」
「わかっているわよぉ…だけど、お友だちに顔を見せると言うことはできないの?」
「だからあと5分か10分だけいてと言うこと!?」

そのときであった。

なおみのことを心配していた男子大学生(25歳・そば屋の店員)と数人の男子大学生がやって来た。

そば屋の店員の男子大学生は、うれしい表情で『元気だった?』とやさしく言うた。

しかし、なおみはなれなれしくワーッと叫んで両手で突き飛ばして倒した後、石を投げつけた。

(ゴツーン!!)

石が男子大学生のひたいを直撃した。

ひたいから血が流れ出ていたので、男子大学生はその場に座り込んで苦しんでいた。

「痛い…痛い…痛い…」

友人は、なおみにどうして(そば屋の店員)に石を投げたのかと問い詰めた。

なおみは、友人たちに背中を向けてキャンパス内から出て行った。

なおみは、大学の友人たちとゼツエンした。
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