【女の事件】豚小屋
第8話
翌朝7時半過ぎのことであった。
なおみがお見合いの席でイヤな表情をしていたので、先方さんからお見合いを断られた。
なので、直家のきょうだいが残した借金を返すことができなくなった。
直家から『よくも仲人の家のメンモクをつぶしたな!!』と怒鳴られたなおみは、生きる意欲を喪くした(なくした)。
朝の食卓にて…
なおみは、泣きそうな声で『朝ごはん食べたくない!!』と言うて、バッグを持って席を出たあと、家を飛び出して行った。
制服姿のさおりも、にらんだ目付きで直家を凄んだ後、四角いカバンで頭を殴りつけてあかんべーして、家から出て行った。
直家は、どうしてなおみとさおりからイカクを受けたのかと、小首をかしげていた。
この時、りつよがパートへ行く支度ができたので、居間にやって来た。
直家は、なおみがお見合いを反古(ほご)にしたので、きょうだいが残した借金は裁判所に破産申請をして破産管財人によって全額清算するより他はないとりつよに伝えようとしていた。
しかし、その前にりつよが直家に凄んできたので、話し合いができなくなった。
「おとーさん!!」
「どうしたんだね?」
「おとーさん!!いつまではぶてて(怒って)ばかりいるのよ!!」
「はぶてて(怒って)なんかいないよぉ…」
「おとーさん!!おとーさんは、先方さんの家のお金をあてにしなければ、おじさまの借金を完済することができんと言うたわね!!それはどういう意味なのかしら!!」
「それじゃあ、他にどんな方法があると言うのだ…信州で暮らしていた時の家を売却して得た大金を全部使って、全体の3分の1しか払えないのだよ…残りの3分の2はどこからクメンするのだ?」
「残りの3分の2は、先方さんの家のお金を使うと言うこと?」
「そういうことだよ…そうしなければ困るのは…」
「おとーさんだと言いたいのでしょ!!」
「そうだよ…」
「おとーさんは、おじさまの借金のことが第1で、なおみのことはどうでもいいと思っているのね!!」
「だから、借金返済が最優先だからなおみのことはどうでもいいと言うことだよ…」
「おとーさん!!なおみは20歳になったばかりよ!!通信制の大学をやめたから他に行くところがなくなったから、結婚しかないなんて決めつけないでよ!!」
「決めつけてないよ…本当に大学やめたら行くところなんかないのだよ…」
「頭に来るわね!!なおみの意向を聞かずに自分勝手にトントン拍子で進めたから、なおみから反感を受けたのよ!!」
「反感を受けようがなんだろうが、ワシは方針を変えない…」
「(チッ)ますます頭に来るわね!!」
りつよが舌打ちしたので、直家はキレてしまった。
「今さっき、ワシに舌打ちしたな!!」
「ええ、したわよ!!」
「ワシの方針に文句があるのか!?」
「ええ、あるわよ!!あんたがおじさまの借金を完済したいと言うのであれば、裁判所へ行ってください!!」
「裁判所…なんで裁判所へ行くのだ!?」
「自力で返済することが無理だから裁判所へ行ってくださいと言うているのよ!!裁判所に破産申請して、破産管財人さんに清算をお願いするより他はないのよ!!その前に、親族のみなさまをすぐに呼んで親族会議で話し合いをしてください!!アタシが言いたいことはそれだけよ!!…アタシ、パートに行ってくるわ…」
直家を怒鳴り付けたりつよは、バッグを持って家から飛び出した。
なおみがゆうべのお見合いの席でイヤそうな表情をしていた理由は、お見合い相手の男性がイヤだというわけではなく、晩ごはんをまだ食べていないのに、仲人さん夫婦がケーキセットを注文したことがイヤだったと言うことであった。
しかし、あとになってお見合いをする日取りが決まったときに仲人さん夫婦から『スタイリッシュなカフェテリアでお見合いをしますので、晩ごはんを食べてからお越し下さい。』となおみは言われていたことがわかった。
お見合いの日、なおみは売り子さんのバイトでパロマスタジアム(瑞穂区)へ行ってた。
なおみは、Jリーグの試合が後半の時に事務所まで売上金を届けた後、日当を受けとる手続きをしようとしていた。
その時に、事務所の人が長電話に夢中になっていた。
長電話のせいで、手続きを取る時間が大きく遅れた。
なおみが事務所を出たとき、仲人さん夫婦が設定をした時間の45分前になっていた。
なおみは、大急ぎで地下鉄を乗り継いで大須観音駅まで行って、駅から走ってカフェテリアまで行った。
そして、空腹のままお見合いをしたからトラブルになった。
仲人さん夫婦は、なおみが晩ごはんを食べて来ると思ってケーキセットを注文したが、なおみが晩ごはんを食べていなかったと聞いて拍子抜けした。
先方さんも『きょうはカレーだから帰っておいでと義姉(おねえ)がいうていた…』と泣きそうな声で仲人さんにいうていたから、なお悪いわ!!
なおみは、10月7日の夕方に起こったゴタゴタが原因で『アタシ…大学よりも専門学校へ行きたかった…』とつぶやいていた。
だから、もう一度人生設計を組み立て直すことになった。
お見合いの翌日、なおみはナゴヤドームへ行って、内野席でビールの売り子さんのバイトをしていた。
その日の夜10時半過ぎのことであった。
直家は、岩倉市にある親族の家の本家まで行った。
亡くなったきょうだいが残した借金を裁判所で破産申請をして破産管財人に清算することを依頼すべきかどうかを親族たちで話し合っていた。
裁判所で破産申請することに親族の一部が反対を唱えていたので、結論を出すことができなかった。
親族間が対立したので、直家は問題が解決するまでの間、本家に滞在することになった。
ところ変わって、枇杷島にある直家とりつよの一家が暮らしている借家にて…
家の居間には、パートを終えて疲れた表情になっているりつよがひとりぼっちでいた。
そんな時であった。
なおみがものすごくイヤそうな表情で家に帰って来たので、りつよはなおみに八つ当たりした。
「りつよ!!」
「なんなのよおかーさん!!」
「りつよ!!10時半を過ぎていると言うのに、今の時間までどこで何をしていたのよ!!」
「おかーさん!!アタシは遊び回っていたわけじゃないのよ!!ナゴヤドームまで売り子さんのバイトに行ってたのよ!!」
「売り子さんのバイト…」
「おかーさん!!アタシはおかーさんのパートとアタシの郵便局のお給料だけでは足りないので、不足分をおぎなうために名古屋へバイトに行ってお金稼いでいるのよ!!」
「なおみ!!」
「おかーさんは休みなく働いているアタシの気持ちは二の次だと言いたいのね!!」
「そんなことは言ってないわよ!!」
(ガタッ)
その時であった。
玄関の方でガタッという音が聞こえていたので、なおみは急いで玄関へ行った。
この時、さおりがまだ帰っていなかったので、さおりが帰ってきたとなおみは思った。
なおみが玄関のドアをあけた時、なおみは強烈な悲鳴をあげた。
「さおり…さおり…ヒィィィィィィィィィィィィ!!」
ボロボロになったさおりを見たなおみは、りつよを呼んだ。
「おかーさん!!さおりがまたレイプの被害に遭った…早くきてぇ~」
鋭利な刃物で制服がズタズタに切り裂かれて、髪の毛が泥でグシャグシャに汚れて、くちもとから血が出て、目が真っ赤になって、顔が青むらさき色にはれて、ボロボロに傷ついたさおりを見たなおみは、必死になってりつよを呼んでいた。
そこへ、りつよが玄関にやって来た。
「さおり!!さおり!!さおり!!…ああ…どうして…どうして…さおり!!」
りつよとなおみは、必死になってさおりを呼んでいた。
さおりは、だまりこんでいたのでどうすることもできずに泣き叫ぶより他はなかった。
なおみがお見合いの席でイヤな表情をしていたので、先方さんからお見合いを断られた。
なので、直家のきょうだいが残した借金を返すことができなくなった。
直家から『よくも仲人の家のメンモクをつぶしたな!!』と怒鳴られたなおみは、生きる意欲を喪くした(なくした)。
朝の食卓にて…
なおみは、泣きそうな声で『朝ごはん食べたくない!!』と言うて、バッグを持って席を出たあと、家を飛び出して行った。
制服姿のさおりも、にらんだ目付きで直家を凄んだ後、四角いカバンで頭を殴りつけてあかんべーして、家から出て行った。
直家は、どうしてなおみとさおりからイカクを受けたのかと、小首をかしげていた。
この時、りつよがパートへ行く支度ができたので、居間にやって来た。
直家は、なおみがお見合いを反古(ほご)にしたので、きょうだいが残した借金は裁判所に破産申請をして破産管財人によって全額清算するより他はないとりつよに伝えようとしていた。
しかし、その前にりつよが直家に凄んできたので、話し合いができなくなった。
「おとーさん!!」
「どうしたんだね?」
「おとーさん!!いつまではぶてて(怒って)ばかりいるのよ!!」
「はぶてて(怒って)なんかいないよぉ…」
「おとーさん!!おとーさんは、先方さんの家のお金をあてにしなければ、おじさまの借金を完済することができんと言うたわね!!それはどういう意味なのかしら!!」
「それじゃあ、他にどんな方法があると言うのだ…信州で暮らしていた時の家を売却して得た大金を全部使って、全体の3分の1しか払えないのだよ…残りの3分の2はどこからクメンするのだ?」
「残りの3分の2は、先方さんの家のお金を使うと言うこと?」
「そういうことだよ…そうしなければ困るのは…」
「おとーさんだと言いたいのでしょ!!」
「そうだよ…」
「おとーさんは、おじさまの借金のことが第1で、なおみのことはどうでもいいと思っているのね!!」
「だから、借金返済が最優先だからなおみのことはどうでもいいと言うことだよ…」
「おとーさん!!なおみは20歳になったばかりよ!!通信制の大学をやめたから他に行くところがなくなったから、結婚しかないなんて決めつけないでよ!!」
「決めつけてないよ…本当に大学やめたら行くところなんかないのだよ…」
「頭に来るわね!!なおみの意向を聞かずに自分勝手にトントン拍子で進めたから、なおみから反感を受けたのよ!!」
「反感を受けようがなんだろうが、ワシは方針を変えない…」
「(チッ)ますます頭に来るわね!!」
りつよが舌打ちしたので、直家はキレてしまった。
「今さっき、ワシに舌打ちしたな!!」
「ええ、したわよ!!」
「ワシの方針に文句があるのか!?」
「ええ、あるわよ!!あんたがおじさまの借金を完済したいと言うのであれば、裁判所へ行ってください!!」
「裁判所…なんで裁判所へ行くのだ!?」
「自力で返済することが無理だから裁判所へ行ってくださいと言うているのよ!!裁判所に破産申請して、破産管財人さんに清算をお願いするより他はないのよ!!その前に、親族のみなさまをすぐに呼んで親族会議で話し合いをしてください!!アタシが言いたいことはそれだけよ!!…アタシ、パートに行ってくるわ…」
直家を怒鳴り付けたりつよは、バッグを持って家から飛び出した。
なおみがゆうべのお見合いの席でイヤそうな表情をしていた理由は、お見合い相手の男性がイヤだというわけではなく、晩ごはんをまだ食べていないのに、仲人さん夫婦がケーキセットを注文したことがイヤだったと言うことであった。
しかし、あとになってお見合いをする日取りが決まったときに仲人さん夫婦から『スタイリッシュなカフェテリアでお見合いをしますので、晩ごはんを食べてからお越し下さい。』となおみは言われていたことがわかった。
お見合いの日、なおみは売り子さんのバイトでパロマスタジアム(瑞穂区)へ行ってた。
なおみは、Jリーグの試合が後半の時に事務所まで売上金を届けた後、日当を受けとる手続きをしようとしていた。
その時に、事務所の人が長電話に夢中になっていた。
長電話のせいで、手続きを取る時間が大きく遅れた。
なおみが事務所を出たとき、仲人さん夫婦が設定をした時間の45分前になっていた。
なおみは、大急ぎで地下鉄を乗り継いで大須観音駅まで行って、駅から走ってカフェテリアまで行った。
そして、空腹のままお見合いをしたからトラブルになった。
仲人さん夫婦は、なおみが晩ごはんを食べて来ると思ってケーキセットを注文したが、なおみが晩ごはんを食べていなかったと聞いて拍子抜けした。
先方さんも『きょうはカレーだから帰っておいでと義姉(おねえ)がいうていた…』と泣きそうな声で仲人さんにいうていたから、なお悪いわ!!
なおみは、10月7日の夕方に起こったゴタゴタが原因で『アタシ…大学よりも専門学校へ行きたかった…』とつぶやいていた。
だから、もう一度人生設計を組み立て直すことになった。
お見合いの翌日、なおみはナゴヤドームへ行って、内野席でビールの売り子さんのバイトをしていた。
その日の夜10時半過ぎのことであった。
直家は、岩倉市にある親族の家の本家まで行った。
亡くなったきょうだいが残した借金を裁判所で破産申請をして破産管財人に清算することを依頼すべきかどうかを親族たちで話し合っていた。
裁判所で破産申請することに親族の一部が反対を唱えていたので、結論を出すことができなかった。
親族間が対立したので、直家は問題が解決するまでの間、本家に滞在することになった。
ところ変わって、枇杷島にある直家とりつよの一家が暮らしている借家にて…
家の居間には、パートを終えて疲れた表情になっているりつよがひとりぼっちでいた。
そんな時であった。
なおみがものすごくイヤそうな表情で家に帰って来たので、りつよはなおみに八つ当たりした。
「りつよ!!」
「なんなのよおかーさん!!」
「りつよ!!10時半を過ぎていると言うのに、今の時間までどこで何をしていたのよ!!」
「おかーさん!!アタシは遊び回っていたわけじゃないのよ!!ナゴヤドームまで売り子さんのバイトに行ってたのよ!!」
「売り子さんのバイト…」
「おかーさん!!アタシはおかーさんのパートとアタシの郵便局のお給料だけでは足りないので、不足分をおぎなうために名古屋へバイトに行ってお金稼いでいるのよ!!」
「なおみ!!」
「おかーさんは休みなく働いているアタシの気持ちは二の次だと言いたいのね!!」
「そんなことは言ってないわよ!!」
(ガタッ)
その時であった。
玄関の方でガタッという音が聞こえていたので、なおみは急いで玄関へ行った。
この時、さおりがまだ帰っていなかったので、さおりが帰ってきたとなおみは思った。
なおみが玄関のドアをあけた時、なおみは強烈な悲鳴をあげた。
「さおり…さおり…ヒィィィィィィィィィィィィ!!」
ボロボロになったさおりを見たなおみは、りつよを呼んだ。
「おかーさん!!さおりがまたレイプの被害に遭った…早くきてぇ~」
鋭利な刃物で制服がズタズタに切り裂かれて、髪の毛が泥でグシャグシャに汚れて、くちもとから血が出て、目が真っ赤になって、顔が青むらさき色にはれて、ボロボロに傷ついたさおりを見たなおみは、必死になってりつよを呼んでいた。
そこへ、りつよが玄関にやって来た。
「さおり!!さおり!!さおり!!…ああ…どうして…どうして…さおり!!」
りつよとなおみは、必死になってさおりを呼んでいた。
さおりは、だまりこんでいたのでどうすることもできずに泣き叫ぶより他はなかった。