【女の事件】豚小屋

第10話

その一方であった。

直家とりつよとなおみのムカンシンが原因で、さおりの心は日増しに破壊されていた。

10月25日のことであった。

さおりは、10月８日に強烈なレイプの被害に遭ったことが原因で学校内でもめ事を繰り返すようになっていた。

この日の午後に、男子生徒が持っていたニンテンドーDSがなくなった事件が発生したので、クラス中が大騒ぎになっていた。

騒ぎから逃れたさおりは、家に帰ったあと男子生徒のカバンの中から抜き取ったニンテンドーDSのゲームで遊んでいた。

しかし、夜８時頃にさおりが持っているはずがないニンテンドーDSのゲームで遊んでいたのを、疲れて帰ってきましたなおみに見つかったので、大ゲンカになった。

「さおり!!さおり!!」
「なんなのよぉ…」
「なんなのよぉじゃないでしょ!!あんたが持っているDSのことでアタシは怒っているのよ!!」
「おねーちゃん!!アタシはDSがほしいから買ったのよ!!」
「ウソをついてもダメよ!!あんたのクラスでこの最近ものがなくなっている騒ぎが起こっていると聞いたのよ!!アタシはもしかしたらと思って聞いただけなのよ!!」
「アタシはDSがほしいから、自分のおこづかいで買ったのよ!!」
「さおり!!」

(バシッ!!バシッ!!バシッ!!バシッ!!バシッ!!)

さおりが自分のおこづかいでニンテンドーDSを買ったと言うたことにブチ切れたなおみは、さおりの顔を強烈な力をこめて平手打ちで叩いた。

「さおり!!アタシはあんたの姉なんかやめてやる!!あんたなんかだいきらいだから殴り付けてやる!!」

(ガツーン!!ガツーン!!)

なおみは、グーでさおりの右耳を殴ってコマクをハレツさせた。

さおりは、その場に座り込んで強烈な叫び声をあげて泣いた。

しかし、ますます怒り狂っているなおみは、さおりをもので殴り付けるなどめちゃめちゃになっていた。

さおりは、なおみから受けた暴行で心身ともにボロボロに傷ついた。

翌朝のことであった。

さおりの顔があおむらさき色にはれていたのを見たりつよは『どうしてさおりにひどいことをしたのよ!?』となおみに問い詰めた。

なおみは『さおりが学校でドロボーをしたのでテッケンセイサイをくわえた!!』と突き放す声でりつよに言い返して、さおりが100パーセント悪いと主張した。

このあと、なおみはものすごく怒った表情でバイトへ行った。

りつよは『どうしてなおみとさおりが仲良くできないのか…』と言うて頭を抱えて座り込んだ。

この日、さおりは勝手に学校を休んだ。

りつよは、少し遅れてカーマのパートに行った。

午後２時過ぎのことであった。

りつよは、体調を崩していたのではやめにあがることにした。

タイムカードを押したりつよは、休憩室のテーブルに座り込んで、大きくため息をついて考え事をしていた。

そんな時であったが、３時から入るパート従業員さんが休憩室に入ってきた。

パート従業員さんは、大きくため息をついているりつよにどうしたのかなと声をかけた。

「りつよさん。」
「おくさま。」
「りつよさん…ゆうべなおみさんがものすごく大きな声をあげてさおりちゃんに暴力をふるっていたわねぇ…一体何があったのかしら？」
「えっ？」
「えっ？じゃないでしょ…さおりちゃん、なおみさんに耳を殴られてコマクがハレツした…物でボコボコに殴られて全身あざだらけになっている…その上に『さおりなんかだいきらいだから殴り付けてやる!!』とも言うていたわよ!!」
「(ヘーゼンとした声で)ああ…ただのきょうだいゲンカよ…大したことじゃないわよ。」
「りつよさん…」
「なんなのよぉ…」
「なんなのよぉじゃないでしょあんたは!!」
「おくさま!!どうしてうちの娘のきょうだいゲンカにケチをつけるのですか!?」
「ケチをつけたくもなるわよ!!ただのきょうだいゲンカじゃないわよ!!それと、さおりちゃんが学校でもめ事ばかりを起こしていることを聞いたわよ!!」
「やめて!!アタシ、もう帰る!!」

りつよは、ワーッとさけびながら休憩室から出ていった。

どうして…

どうして分かってもらえないのよ…

ただのきょうだいゲンカで、仲直りできると言うたのに…

もういや…

もういや…

もういや…

りつよの気持ちが追い詰められたので、冷静にものごとを考えることができなくなった。