【女の事件】豚小屋

第8話

10月7日の午前11時過ぎのことであった。

場所は、あきる野市養沢にあるふれあい農園にて…

あいことようすけは、母子たちと保母さんたちと一緒にふれあい遠足に参加していた。

この時、みんなで乳牛の乳しぼり体験をしていた。

ようすけは、つまらない表情を浮かべながらひとりで別の場所へ行った。

それから2~3時間後のことであった。

あいこは、ようすけがいなくなったことに気がついたので、急いで探しに行った。

その頃、ようすけは無人の豚小屋の中にいた。

ようすけが、小屋の奥に進んでいる時であった。

ようすけの足元に、金具が壊れてドロでぐちょぐちょに汚れたブラジャーを見つけた。

ようすけがブラジャーを手にした時であった。

「ようすけ!!待ちなさい!!どこへ行くのよ!!」
「ママ…」

ようすけを探しに来たあいこは、ようすけの顔をみながらこう言うた。

「ようすけ!!みんなのところから離れたらダメと言ってるでしょ!!しょうがない子ねもう!!」

あいこは、ようすけを抱き抱えて小屋の外へ出ようとしていた。

この時、ようすけが問題のブラジャーを持っていたのをあいこが見たので、背筋に激しいセンリツが走った。

なんなのかしら…

もしかして…

豚小屋の中で、レイプ事件が起こっていた…

ようすけを抱っこしたあいこは、足を震わせながらゆっくりと歩いていた。

ブラジャーが発見された場所から100メートル先で、ドロドロに汚れてグニャリと折れ曲がったショーツが落ちていたのを見た。

それと同時に、ところどころに血液が落ちていた。

それを見たあいこは、もしかしたらこの先が事件現場なのかも知れないと思ったので、だんだん恐くなった。

そして、あいこは恐ろしい場面を目撃したので強烈な叫び声をあげた。

「ギャァァァァァァァァァァァァァァ!!」

あいこは、天井からロープで吊り下げられて、衣服がズタズタに破れて、ぐちょぐちょになるまで犯されて、殺された女が全身が赤色のラッカーでそまっているのを目撃した。

「イヤァァァァァァァァァァァ!!イヤァァァァァァァァァァァ!!」

あいこがさらに激しい悲鳴をあげたので、楽しい時間が一瞬にして崩れた。

それから30分後のことであった。

事件現場の農園に、警視庁のパトカー40台が次々と敷地内に入ってきた。

パトカーが到着後、いっせいに現場検証が始まった。

第1発見者のあいこは、刑事たちからアレコレとめんどいことを聞かれていた。

そんな時であった。

若手の鑑識警察官が敷地内にある汚水曹の中で70代後半の男性が沈んでいると言うたので、現場はさらにきんぱくした。

事件発生から90分後に、汚水曹から男性の遺体が引き上げられた。

亡くなった男性の身元は、常滑市から行方不明になっていたちづるの父親だと判明した。

ウソでしょ…

義父さまが常滑から奥多摩の豚小屋まで…

どうやって来たのかしら…

義父さまは、もう一度工場を再建するためにがんばると意気込んでいた…

もしかしたら…

欲に目がくらんでしまったあげくに…

工場がつぶれたので…

従業員さんたちから強烈な怒りを受けたのかもしれない…

こわい…

恐ろしい場面を目撃したあいこは、ショックで声を出すことができなかった。
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