~fault~私だけが・・・
私は次の日からひとり家を朝早く出て行く様になった。
帰りは何かと用事を作って皆に会わないようにした。

恒例の家族の集まりは色々と面倒なので、とりあえず顔は出していた。

何かと声を掛けてくる3人はきっと何かを感じているし、ともすると気付いてはいるけど
核心に触れるようなことは言わずに何となく私との距離を保っていた。
匠とは言い合いをしたあの日以来しゃべるどころか目を合わせることすらなくなっていた。

もう1ヶ月になるだろうか?とにかくこんな事は初めてだった。
たぶん私も含め5人が5人共、初めての事に戸惑っていたんじゃないかって思う。

でもそんな重たい空気を壊したのはやっぱり樹だった。



「わたるぅ―――――!!」樹が慌てて掛けよってきた。
「何?どうしたの?」
「うん・・」
「なに?」

「あのさ、匠となんかあった?」
「別に何で?」
「だってずっと話してないでしょ?それに、目だって合わそうとしないし、匠も機嫌悪いしふたりして何かヘンだよ」

「別に何もないよ。心配しないで樹。じゃあ約束あって急ぐからバイバイ」



そう言って逃げるように、学校を後にした。
< 10 / 93 >

この作品をシェア

pagetop