~fault~私だけが・・・
~匠side~


その場から動けなかった。
なかなか灯りがともらない渉の部屋。

渉の部屋とオレの部屋は向かい合っていてベランダ伝いに実は行き来が出来る。
5軒は真ん中の渉の家で左右を分けて左端は樹の家、次がオレんち、右端が新んち、次が央の家。
5軒とも玄関こそ道路に面しているけど後は全て造りが違っていて
メインの広いベランダ添いに部屋がある渉と部屋の横にこじんまりセカンドベランダがあるオレの部屋。
5軒で唯一ベランダ同士が向き合っている。
まぁ、たまたまそこの部屋を使ってるだけって話だけど・・・

小さい頃はもちろん行き来は出来なかったけど、小学校の高学年ではオレ、中学2年の頃には渉、ふたりが成長と共に行き来が出来るようになっていて都合よくベランダを渡り合っていた。
もちろん樹も新も行ったり来たり。一番年下の央は妙に大人びていてそう言う事は一切することはなかった。


そのベランダ越しに見える渉の部屋を今日は何度覗いたのか?
なかなか帰ってこない渉。
最近はそんな日が多くてあの言い争いをした日から1ヶ月は目も合わせなければ話もしない
そのあとも必要な話はしても必要以上に関わってくることがなくなった。

ま、、オレに関してはって事で、他の3人とは普通なんだろうけど・・・
こんなこと初めてだから余計に気になってるのも事実で
言い過ぎたかもしれないって少しは反省してるから謝ろうかなんても思っていて
タイミングを見てるのになかなかその時が来ないまま、さっき見てしまった光景に戸惑っていた。

おかしくはない。
考えてみたらそういうことがあってもおかしくはない。
ただ正直、理解するのに時間がかかった。
全くそんな素振りはなかったし、それに渉には思い出したくもない過去がある。
だからさっき見た光景がちょっと信じられないのかもしれない。






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