~fault~私だけが・・・
~優斗side~


キッチンに立つ渉のうしろ姿を見つめたままオレは考えていた。
これでイイのかと・・・・・
オレが今日、誘った意味を十分わかった上でこうやって来てくれた渉。

オレは少しでも、ほんの少しでも、渉のキモチを癒しているのだろうか?
こんな風に家に招いてまた渉にツライ思いをさせてしまうんじゃないか?
色々な思いがオレの頭の中をグルグルしていた。

付き合って半年あまり
渉の事がどんどん好きになっていくオレだからスキンシップも増えていく。
そうなれば自然なことで、もっとって欲が出て渉の何もかもを自分だけのものにしたいって。
付き合いだしてそう思ったのは本当にすぐで、
目の前で屈託なく笑う顔を見て、腕の中でオレの名前を可愛い声で呼ぶ、そのたびにあふれだす感情、それは毎日何回も。

大切にしたい。その思い1点で感情を理性で押さえていた。
付き合いだして3ヵ月。休日のデート。
食事をして映画を見て自分たちと重なるような恋愛映画できっとお互いの気持ちも映画の世界を彷徨っていたのかもしれないけど、手を繋ぎ歩く公園で何度も何度もキスをして甘い声を漏らした渉に聞いた。
『いいの?』って。答えはうつむきながら聞こえた小さな『ウン』って声。


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