~fault~私だけが・・・
~優斗side~


手を引き抱きしめてキスをして静かにベッドに倒した。
髪に触れ頬を包み込みそっと触れたくちびる。
微笑みながらも少し緊張しているのか、潤んだ瞳をオレに向け何度も深く呼吸を繰り返す渉が本当に可愛くて愛しくて高まる気持ちが行動にリンクして先を急ぐ。

首元に手を忍ばせ深くなるキス、漏れ出す甘い声にくちびるを這わせるように辿ると震えだす渉に慌てて体を離す。
『渉?どうしたの。大丈夫?怖い?オレのこと、、怖い?』オレの言葉に顔を覆い泣き出した。
やっぱり急ぎ過ぎたのかもしれない。
何となく感じていたこと。触れ合うことに敏感な渉。
初めて手に触れた時、初めて肩を引き寄せた時、初めて抱きしめた時、初めてキスをした時、全てに感じた思い。ビクっと小さく反応する渉の身体。
それは少し過剰にも思えて何かあるのかもしれないって、落ち着くまで何も言わずに抱きしめる。
あの時、腕の中に居てくれることだけが安心材料だった。

『ごめんね』
『大丈夫?』
『うん。ごめんなさい』
『オレの方こそごめん。急ぎ過ぎたね、ホントごめん』
『うんん、違うの。優斗は何も悪くない。私が弱虫なの。いつまで経っても・・・』

迷ったけど、どういう事?聞いてもいいかな?って言ったら何も言えなくなった渉。
慌てて『ごめんイイよ。無理しないで』って、もう何も言わなくていいって言おうとしたら
オレの言葉を遮って話し始めた渉の言葉に驚いたけど、と同時に怒りとか言いようのない感情が込み上げた。

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