~fault~私だけが・・・
~優斗side~


中学3年の時にふたつ上の高校生と付き合っていたと話してくれた。
誰にでもある過去でそれはあまりにも普通の事。
その彼はオレみたいに優しくてって少し笑顔を見せてくれた。
『うん』って抱きしめた。
ある日その彼の家で一緒に勉強をすることになったって聞いて何となく息が詰まりそうになるのを感じたオレ。
その後、渉に何が起こったのか想像できたから・・・
『もーイイよ。渉、もう何も話さなくていい』そう言ったのにそれでも渉は話しを続けた。

『その時にねその人に無理やり
『渉!!もういいからわかったから
『ごめんなさい!!わたし、、
『もういい、、渉、、、、

必死に渉を抱きしめた。震え泣きながらも話そうとする渉を必死で強く抱きしめる。
オレにすがるように腕を回し、しがみつく渉に何度も謝った。
『わかったから、もうイイから、ごめんな。そんな事思い出させて。ごめん、ごめんな渉!』
『私が弱虫だから、、、優斗に、、優斗に、、、
『弱虫なんかじゃないよ。ありがとう。話してくれて。弱虫なんかじゃないよ渉は。』

その夜、渉が泣き止むまで抱きしめ一緒に温かな紅茶を飲んで手を繋ぎ部屋を後にした。
家の前で車を止めるとまた謝った渉。

『家の人、心配するからそんな顔しないで、ね?』
『・・・・』
『明日また駅で待ってる。少し早く来られる?一緒にモーニングしよ(笑)』

うんって笑ってくれた渉の背中を見送った。
手を振り家の中に入って行った渉を見届けて車を走らせた。

家に帰ると震える手を押さえ、さっきよりもより一層の怒りが込み上げる。
それは急ぎ過ぎた自分にだ。
大切にしたいって心の底から思った。
そんな過去なんてって思えるくらいに幸せにしたいって心に誓う。
だから大切に大切に渉の気持ちを一番で過ごしてきた。


「・・・っと?」
「・・・・・」
「優斗ってば!」
「ああ(笑)ゴメン。なに?」
「もぉ~。最近、上の空、多いよね。私の話ちゃんと聞いてない時、多すぎ!!」
そう言って、ホッペをいっぱに膨らませた渉が愛おしくてたまらない・・・


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