~fault~私だけが・・・
最近、上の空な優斗のキモチは十分に解っていた。
一緒にいる時間が増えれば増えるほどスキンシップが増えていくのは当然で
優斗に触れられると一瞬ビクっとしてしまうことを申し訳なく思いながらも緊張はするけどうれしくて・・・
優しくふれるくちびるは苦しいくらいに優斗の想いが感じられて出来ることなら少しでも先にって思うのに、そう思えば思う程ココロもカラダもそこから動けなくなる。
そんな私に気付いている優斗は決して先には進もうとせずに
話題を変えたり場所を変えたりしながら私に気持ちを押し付けたりはしない。

そんな優斗の優しさに甘えて、いつまでも弱虫で何一つあの日と変わろうとしない私が、
優斗を傷つけ、苦しめていること。
優斗の事は好き。大好き。優斗の笑顔が大好き。優斗の優しさが好き。
大人なのに私にだけ見せてくれる子供みたいな可愛いところが愛おしい。

「渉?」
「あ、ねっ優斗?お願いがあるの。」
「うん、なに?」
「写真見せて」
「写真?え、、昔のって事?」
「うん!見たい」
「んんん、、、」
「見られちゃまずい?」
「マズくはないけど恥ずかしいんだよ」

クク(笑)知ってる。お母さんが言ってた。
『小さい頃は女の子みたいに可愛かったの。だからスカートとか履かせちゃったの私(笑)』って。


ふふ・・・(笑)
わたるぅ~~??って何かを感じてるだろう優斗が心配そうに私を呼ぶ。
優斗の顔を見ながら少しずつ後ろに後ずさると階段の前。
「わたる~~あのさ、待てって、、、な?」
次の瞬間!モーレツダッシュで、階段を昇った。

部屋に入るとお母さんに教えてもらった場所にあったアルバムを抱え込む。
ハァハァ言いながら階段を駆け上がってきた優斗が脱力したようにフニャフニャ~ってなって「一緒に見よ」って笑った。
笑うなよって少し投げやりに言った優斗が可笑しい。
「そんな約束できないよ。だって見てみなきゃわかんないもん(笑)」
「イイよ。笑いたければ、笑えよ。」

そんなにイヤなのかな?ますますワクワクしてきた。どんな優斗が居るんだろう。
ベッドに身体を預けブスくれている優斗の隣にアルバムを持ったまま座り優斗をじっと見た。


< 32 / 93 >

この作品をシェア

pagetop