~fault~私だけが・・・
「キレイな人だね」

アルバムは高校時代から現在の物になっていて、その間に何枚もの写真に対して同じ思いが湧いていた。
彼女?恋人?どれくらい付き合ったの?
もう今にも言葉が出そうなのを抑えるのに必死だった。
だってそんなこと聞くのがすごく大人気なくてイヤだったから・・・
優斗に子供って思われたくなくて押し黙る。
そんな私に気づいたのか、優斗は私の頭を優しく撫でると話し始めた。

「高3の終わりから大学の2年の初めまで付き合ってたんだ。
オレから付き合ってほしいって言って、だけどなかなか相手にしてもらえなくてね。でも好きって言い続けてやっと付き合ってもらった」
「そぉ。。。」

そんなに好きだったんだね。この人のこと。すごくキレイで大人っぽくてお似合い。

「大好きだったんだね」
「うん。そうだね。大好きだったね」
「・・・・・・・・」
「それはヤキモチ?妬いてくれてるのかな?」
「そんなんじゃないけど」
「なぁ~んだ、ヤキモチ妬いてくれたのかと思ってうれしかったのに残念(笑)」

のんきにそんなことを言った優斗の言葉にくちびるをギュって結んで大きく呼吸をした。

「渉?」
「うん」
「大好きだったんだよ?」
「1回聞けばわかるよっ!」
「だったの。過去、もう過去になちゃってるの」

何も言えなかった。

「渉に逢ってからね」
「優斗、っん」
優しいキスが降ってくる。

「大好きだよ渉」
「ワタシモ」
「ん(笑)」

好きだなって、本当に優斗が大好きって思う。



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