~fault~私だけが・・・
~優斗side~


「気になる子が居たんだ。毎日、電車で見かける子。半年くらいただ見てるだけだった。でも思い切って声掛けたんだ。話したらすごく素敵な子でさ。」
「それって・・」
「そう渉」
「・・・」
「渉?」
「ごめんなさい」

そうなるよな。うん・・・こうなったらちゃんと話そう。
オレと彼女の問題で渉は、いわば、オレのキモチの巻き添えなんだよって
それにハッキリ言って彼女の方がキレイで大人で、でも彼女よりオレは渉を選んだんだって

「随分ハッキリと・・・」ってちょっと笑ってくれたから話しを続ける。

年上の彼女との付き合いに背伸びしてる自分に気がつき始めて、彼女もそんなオレとの付き合いに少し疲れていてギクシャクし始めていた。
会う回数や連絡を取る回数が減って行って、そんな時に電車の中でいつも楽しそうに笑ってる渉を見かけた。

「おこちゃまだもんね。私」
「そこがイイんだよ。おこちゃまのオレにとっては(笑)それに渉に付き合ってって言った時には彼女とはちゃんと別れた後だから」

怪訝そうに身体を逸らせオレを見た渉を抱きしめる。
腕の中、
「私の知らない、優斗がいっぱいいるんだよね。私もっと優斗のこと知りたい。優斗も私のことそう思ってくれる?」

この期に及んでそんな可愛いこと言ってマジかんべんしてほしい。
顔をちょこんと上げオレを見上げてさ?さっきから何度目を閉じ心を落ち着かせてるか・・・
そんなオレの事情なんて言えないけどさ・・・・(笑)

「もちろんだよ。でもそんな過去のこと聞いたりしたら大人気ないって思われるから今まで聞けなかった。オレ一応おとなだし?でもホントは聞きたいこと一杯いっぱいあるし、オレも渉の事もっと知りたいよ?」
「ありがと。そうだよね。気になることあるよね・・・」
「渉?それはイイんだよ。そんな事は話さなくてイイんだ。そうじゃなくて

そこまで言うと渉が、真剣な顔でオレをみた。
変な方向に行きそうで少し後悔していた。
結局は話がそこに行きついてしまう。そうじゃないのに結局はそこ。




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