~fault~私だけが・・・
~優斗side~



「渉、もうイイから。焦らなくていいんだよ。オレの事は気にしなくていい。正直オレも少し覚悟がいる。ツライ過去を抱えている渉とそーいう風になることにね。」
「優斗・・・重い?」

不安そうにオレを見る渉を一層強く抱きしめた。

「重いとかじゃなくて、渉のこと受け止めてあげられるのか、少しでも楽にしてあげられるのか、かえって辛くさせてしまうんじゃないかって、オレでイイのかって」

こうやって話している間も、オレの腕の中で震えている渉。
そのたびにやっぱりってオレじゃぁダメなのか?って思いが勝ってしまいそうになる。
そのとき渉がパっと顔をあげた。

「優斗ごめんね。こんな私でごめんね。優斗はいつも優しいのにダメな私でごめんね。」

そう言ってまた泣きだした渉にオレは気がついたらキスをしていた。
長いキスをして、次第に絡み合うように深いキスに互いの腕が互いを強く引き寄せ止まらなくなる。
その渉の腕の強さにオレは今の自分を信じようと思った。

渉を抱き上げそっとベッドに寝かせ
「渉?大丈夫?」と声を掛けると心配そうな渉が
「うん。でも優斗さっき覚悟って」って。

「ああ、言った。でもあんなの言い訳だ。臆病な自分への言い訳だ。渉?オレと二人で乗り越えてみないか?一緒に」
「優斗、私は今日そのつもりで来たの。きっと優斗も、そのつもりで誘ってくれたと思ったから。大丈夫って思った。優斗ならって。」
「ん。」
「だからもし、優斗も同じ気持ちで居てくれてるなら今日は止めないで。なにがあっても・・・きっと涙も出るし震えるし前と何一つ変わらないかも知れないけど、それでも止めないで。キモチが違うから。前とは私の気持ちが違うから・・・優斗に対する気持ちが違うから。
心配しないで、優斗とならあの日の事を乗り越えられるって思うから。」

泣きそうになった。こんなに素敵な子を傷つけたヤツ!本当に許せない!!

「でも優斗を苦しめたりツライ気持ちにさせちゃうことになるかもしれないから、優斗が今、迷ってるなら・・・ぁ・・」

オレはまだ何か言いそうな渉の唇をキスで塞ぎ苦しくなるほど何度も何度もキスをした

「心配いらない。渉の涙も辛い思いも、ふるえた体も渉のキモチもオレが全部受け止める。渉のすべてを。だから安心して、オレを信じて。
忘れることは大変だけど、思い出さないくらい、渉のこと大事にする。渉…愛してる。」





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