~fault~私だけが・・・
『もう一週間だぜ?あいつ部屋から全然出てこないって、おばさん言ってた。
大丈夫かな?飯も食べないって・・・』
『心配?』
『当たり前だろ!』
『だよね』
『・・・・・』

『大丈夫ではナイと思うけど、今、必死で色んな事と戦ってると思うよ。
こればっかりは周りは何もしてあげられないから・・・・
酷な様だけど彼女にも責任はあるんだよ。ちょっと軽率だったよね。今回の事は』
『それは渉も分かってると思う』
『うん。だから待ってあげようよ。きっと彼女が頼れるのは匠しか居ないから、匠って言ってくるまで・・ねっ。』

『オレなんかに頼ってくるかな?』
『じゃあ私かなっ』
そう言った聖奈を見たオレの顔はきっとやりきれない表情になっていたと思う。
でもそんなオレを見る聖奈もまた悲しそうな顔をしていた。

その時オレの鳴り出したスマホ。
画面には『わたる』の文字。


【渉!!】
オレは聖奈が居る事もすっかり忘れ急いでスマホをタップしていた。

【渉!どうした?】
【タクミ・・・】
今にも消えそうな渉の声。

【ぅん?】
【タクミ,…】
【渉ゆっくりでいいから、待つから、、】

スマホを耳に押し当てると、小さな息遣いが静かに聞こえて泣いているのがわかるから
目を閉じオレもゆっくり大きく呼吸をする。

・・・・・・

・・・・

・・

【タクミーーーーー】

泣きながら絞り出したように聞こえたオレの名前。
オレは慌ててカーテンを開けた。


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