~fault~私だけが・・・
少し落ち付いた渉に話し掛けた。

『渉。何があってもオマエはオマエだ。ダメなんかじゃない。
でもな渉。オレが今どんな事をオマエに言ったってオマエが自分を大切にしていかない限り何も変らない。辛いし悔しいけど乗り越えてくれ!!オマエなら大丈夫。
周りが何を言っても、やっぱりオマエ自身が何とかして乗り越えて行くしかないと思う。』

『大切?大切にしたって・・・』

『もちろん分かってる。じゃあ消せるか?その事実オマエが消せるか?忘れられるか?そんなのムリだろ?ゼッタイに、きっと一生忘れられない。忘れられるはずがない。そうだろ?オマエはこの先も事あるごとに思い出す。オレはオマエのそばに居て忘れた振りをするぐらいしか出来ないと思う。向き合ってくしかないんだ。キツイ事言う様だけどオマエ自身しかどうする事もできないんだ。なっ、渉。』

渉は黙って聞いていた。

『匠…』
『ん?』

『・・・・・・・・抱いて』渉の声に耳を疑ったがたけど少しホッした。
とても渉らしくて。向き合うイコールこれだったのだ。とても単純な荒療治?
オレは言われるがまま渉をそっと床へ寝かせると両手を取り渉を見つめた。
髪を撫で頬に手を当てそっと体を合わるとガタガタと震えあっという間に涙で一杯になった渉。

分かってはいたこと・・・
『あほ。』渉を抱き起こして涙を拭い抱きしめた。

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