~fault~私だけが・・・
家に着いて放心状態のまま部屋に入ると

『どこ行ってたの?』
『人の部屋で何してんだよ」
渉だった。

『居なくなっちゃうんだもん匠。どこ行ってた?』
『別に何処だってイイだろ。おまえには関係ないよ』
『・・・匠?まさか』
『なんだよ』
『壮の、、ところ』
『壮なんていってんな!』

酷い目に遭ったくせにバカか!腹が立ってしょうがなかった
でもココでオレが何か言ってしまえばまた辛い思いをさせてしまうから
やっぱりそうなんだってうつむく渉に

『勝手にワケわかんねー想像してんじゃねーよ。デートして来たの(笑)』

聖奈さん?ってうれしそうに聞いてくる渉に別れたなんて言えなくて
聖奈の事を素敵な人だねって匠、幸せなんだねって嬉しそうに言ってたから

『そうに決まってんだろ』
『そっか。私もまた会いたいな聖奈さん』
『そのうちな』

わかったって言って部屋を出て行った渉。
別れたなんて言ったら渉はきっと自分のせいだって自分を責めるのは分かってる。
ホッとしたのもつかの間ドア越しにオレを呼ぶ渉の声が聞こえた。

オレもドアを開けずに答えた。

『なんだよ。まだ居たのかよ』
『うん・・・匠ありがとっ』


これでお互いがこのことに触れることはなくなった。
聖奈とは本当に終わってしまって、それっきりオレは特定の人とは付き合わず周りが呆れるほどフラフラとしていた。
色んな子達とそれなりに楽しかったし別にそれでいいやって思ってた。

渉の事を考えないわけではなかったけど、渉の辛い過去も渉のその後の恋もオレには追い付けない事ばかりでどこにも行きつかない。
オレがどうすることもできないんだって思ってた。
実際それからの渉が恋に一歩を踏み出すことはなくてオレ達の間で穏やかだったから・・・




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