~fault~私だけが・・・
乃蒼を見ると、からかうでもなく笑ってもいなくて表情からして至って真面目な問い。
オレがこんなだから(笑)兄妹の中で長女の乃蒼はしっかり者で頼りにしてる。
自分の問いに少し慌てる兄を見て悟ったのか
「ま、いいけど・・・」ってまた問題を解き始めた。

・・・いいなら初めから聞くなよ。
ココにもいたか!鋭いヤツが。

「そうじゃない。」
「は?」
「わかりやすいからね?お兄ちゃん」

・・・・・・・。
家族には誤魔化せていないし、誤魔化せないって事か。
やっぱりただ一人をのぞいては・・・

「でも渉ちゃん彼氏いるんだね。めちゃくちゃ優しそうなイケメンだったね」
驚いてちっさく「ぇ、」とか言っちゃうオレにもはや呆れるような顔の乃蒼の次の言葉に衝撃を受ける。


「こっそりのぞいてるつもりなのかもしれないけどさ?きっと渉ちゃん気付いてるんじゃないの?」

はあああああ?

「んなわけあるか!アイツが気付く訳ねー」

何も言わずオレを見た乃蒼。自爆でしょうか?

「でもまぁー、お兄ちゃんの気持ちもわかるし妹としては兄にも幸せになってもらいたいけど,
渉ちゃんが本当に幸せそうだからね。笑顔が増えたでしょ?だから渉ちゃんを泣かすようなことだけはしないでね」

そういうとオジャマしましたって静かに部屋を出て行った。

乃蒼はたぶん渉のとこを本当のお姉ちゃんだってかなりの歳になるまで信じてたんだと思う。
オレよりも渉に懐いていたし、ともするとオレの事を隣のお兄ちゃんって思って節も否めない。
渉が大好きで何でも渉のマネをしたがった乃蒼。
見られてたなんて気づかなかったけど、影で渉を見つめてたオレの事を乃蒼なりに見守ってくれていたのかもしれないな・・・
本当に野乃花がうるさかったのか?何かしでかしそうなオレに釘を刺したかったのか?
どっちもなのかもしれないけど、乃蒼のあまりにも真剣な問いと訴えに、そろそろちゃんと自分とも向き合わなければいけないって再確認。

時期とかタイミングってちゃんと重なるんだよな。







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