~fault~私だけが・・・
「なんでタクシー1台なわけ?」
「ん、だよな、樹のヤツ!」
「・・・・・・」
「・・・・」

私たちも帰ろっかってふらふら歩き出した渉のうしろ姿を見守った。
そうは言うものの帰る気配が全くない渉が急に大声を出す。

「ねーーーたっくみぃぃぃぃーーーー」
「うるせーよ、近所迷惑だろ」
「近所って店しかないじゃん(笑)だはは」

そんなに酔ってないはずなんだけど、たぶん・・・

「央には言えないけどさみしくなっちゃうね」って狂いないタイミングの良さ(笑)
「もう少し飲んでくか?」
「え?いいの?」
「なんでいいよ」
「クク(笑)そっか。匠のバイトの店行きたい!」

へ~~とかふ~~んとか物珍しそうにキョロキョロしながらワインを飲む渉。

「何がそんなに珍しいんだよ。BARなんて笠間さんとだって行くだろ」
「まぁ~ね。でも匠がバイトしてるって思うとなんか、、こ~別空間?や、そうじゃなくて親心?ココなんだぁ~って感じ?(笑)ククク」
「オマエに育てられた覚えはねーよ」
「え!何をおっしゃる!私はキミの成長に多大な影響を与えていると思うけど~~~(笑)キャハハ」

間違ってねーから何も言えないオレをマスターが笑ってる。
「渉ちゃん可愛いね。」
「きゃ!マスターは素敵ですよ~~」
「オマエ飲み過ぎじゃね?」
「匠がいつも渉ちゃんのこと話してくれるんだけどね」
「マスター!!ちょっと!!渉!気にすんな?なにも、な?」



「なぁ~に慌ててるのよ(笑)」



「え?」
「ば~か(笑)あんたが私の事なんて悪口しか言わないに決まってるじゃん。マスターおかわり~~カンパ~~イ(笑)」

それから他のお客さんとも笑いながら飲み始めた渉にオレも楽しくなって店を出る頃にはお互いがふらふら。
お互いがおぼつかない足元で互いの身体を支え合いながら歩く。
すると急に央が居なくなることが寂しいってシクシク泣き出した渉(笑)
泣き上戸かよ!なんてからかいながらも、オレもなんか悲しくなって今度は泣きながら歩く(笑)
立ち止まっては向き合ってお互いの涙を拭いあう(笑)

「なにやってんだろ私たち(笑)、、、うぐ(泣)」
「何やってんだろうなオレ達(笑)、、っう、(泣)」
泣いては笑って、笑っては泣いて・・・




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