~fault~私だけが・・・
逃げる様に駆け込んだバスルームから部屋に戻ると大きな窓の前、すっかり着替えが済んだ広く大きな背中が見えた。

腕組をして微動だにしない匠が振り向こうとしたから、いいから振り向くなって必要以上に大きな声を出すと
『なにがいいからなのか分からないけど、まぁ、、うんわかった』って笑いながら言った。
その笑った匠の余裕が私には痛くて

『あのね正直覚えてなくて、この状況からしてそうなのかもしれないけど全く覚えていなくて・・・・だから、、その、、、、ね?匠』

覚えてないって言うしかなかった。
きっと匠にとっては何でもない事で、他の女の子と一緒なんだって・・・
しかももしかしたら他の女の子よりも質が悪いのかもしれない、だって、、、
幼馴染だもん。厄介だよね、こんなの・・・
だからなかったことにすればいい。
そしたら『オレも』って聞こえたから『だよね』って返す。

それでもまた『そっち見てもいいか?』って笑いながらからかう様に言うから腹が立つ。
それもおかしな話なんだけど、私一人バカみたい・・・

ダメに決まってるって怒った私に、そうなんだってまた笑う匠。
早く居なくなりたくて

『だからね忘れよ!お互い覚えてないんだから忘れよ。うん、何もなかった。そうしよう。私も忘れるから、お金ココ置くね。じゃ、講義あるからもう行く、ね』って部屋を後にすると
涙がポロポロ止まらなくて公園に駆け込んで泣いた。

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