~fault~私だけが・・・
~匠side~


あれから一度、渉のスマホを鳴らしてみるけど出ないし返っても来ない。
と言うか、あれから渉の部屋に明かりがともることはなくて、たまたま見かけた兄弟に声を掛けた。

「あゆみ!りく!」
「あ!たくちゃんだ!!」って笑った渉の妹の歩美とペコリ頭を下げた央の弟の凛空。

「塾の帰りか?」
「うん、たくちゃんはこれからバイト?私も今度行きたい!!!」ってはしゃぎだす歩美も
「オマエはバカか」って言い放つ凛空も渉と央にソックリで笑える。

「歩美?渉は帰ってる?」
「あ?お姉ちゃんお友達のお家に泊ってるよ?もう一週間くらいになるんじゃない?聞いてない?」

ったく・・・避けられてるって事か。


歩美と凛空に送り出されて歩き出す。


「はぁ?」不快感が声になる。

前から歩いてくるのは渉と笠間さんで見るからに楽しそうで・・・
忘れるからって言った渉にとってはやっぱりその程度の事だったってこと。
オレのことももう気付いて手なんか振っている。
なんら変わらぬ渉の態度に渉の気持ちが見えて高ぶって彷徨っていた心が後ろを向くのを感じていた。

どうもって笠間さんと挨拶をした。

「バイト?」
「あぁ」

「え!なに機嫌悪っ!」
「んなんじゃねーよ。」
「ちょ!やめてよね優斗の前で」

まぁまぁ、って渉の肩に手を置き宥めている笠間さんにもう一度挨拶をして2人に背を向けた。
うしろで渉がなんか言ってるけど、、、知るか!



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