~fault~私だけが・・・
~匠side~



「友達んとこ泊ってたって?」
「ぁぁ、うん、そう」
無言で見下ろすと一瞬上目遣いにオレを見てうつむいた。
そんな態度取るなら電話でろよな、心配すんだろ・・・

「電話、ごめん」
「いいよ別に気にしてない」
「そ、っか・・・・」

とか言いながらも心ん中はグチャグチャで女々しいなって我ながら呆れる。
ふたりを見ればわかることで、魔が差したってだけ。
酔ってたって今ならまだ渉にも周りにも何より自分にも言い聞かせられるはずだ。
あんなことがあったから過剰に反応して気をもんでるのはオレの方で渉にとっては過去の事。
笠間さんと過ごす様になって穏やかになったのは手に取るようにわかるから、これでいいんだって今ならまだ・・・

「いつ気付いたんだよ。笠間さんに付いて行ってもらえばよかっただろ?」
「会社戻るって言ってたから。残業前に少し会っただけだったし」
「へぇ~、そっか笠間さんもう社会人なんだな」
「そうよ(笑)」

当たり前だけどこっそり忍び込んだ大学は真っ暗で、いつの間にか手を繋いできた渉の手をしっかり握っていた。
講義室の渉が座ったって場所、スマホの明かりを頼りに探すと警備員が近づく明かりが見える。
渉の頭を押さえつけ、机の中に隠れた。

「なに????」
「シッ」

静かにって人差し指を渉の口に当てた・・・・・
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