~fault~私だけが・・・
光が見えて警備員が来るのが見える。2人で息をひそめ
でも足がしびれてきたよ・・・
私は小さな声で、

「あし」
「?」
「あぁし、しびれたっ」


光が近付いて匠は私の口を手で押さえた。
私も一層、身を縮めた。
光と足音が遠のくのを見届ける。
“バン!!”
2人で一斉に出ようとした上、足がしびれてるから咄嗟に匠の手をとったまま倒れてしまった。

「誰かいるのか!」

今の音で警備員が戻ってきて慌てて私達はそのままの体勢でもう一度、息をひそめる。
机とイスの間で、匠は私をかばう様に倒れていた。


「大丈夫か?」
「うん。でもビックリした、見つかると思った。」
「ん、、」
「・・・」
「なんだよ」
「重いよ!早くどいてよ」
「あっ、そうだな。ごめん」

匠はグッと手に力を入れ動こうとしない。

「なに、どうしたの」
「オレも足しびれて動けねー」
「えっ、、」

私達はそれっきり話さなかった。
なんか妙に緊張してるからこのドキドキを匠に知られたくなくて
「なんか、ドキドキしちゃう」と冗談っぽく言ってみた。
匠を見ると少し笑っていて「オレも」とか笑うから
「なんだ同じじゃん。よかった」

だけど今度は真剣な顔をして私を見下ろす匠が唇をそっと合わせてきた・・・
ビックリはしたけど左手のすぐそばにあった匠の右腕をそっと掴むと匠は急に慌てて私から離れ

「ごめん」と言って私を起こした。

この間から匠が作り出すこの距離に心が跳ねたり胸がチクって痛んだり

「私のほうこそゴメン。足、大丈夫?」
「ん、大丈夫」

匠にとって厄介な存在になってしまったことに思いの外、傷つきどうしていいのか分からずに
どんどん心が閉じて行くから少し前を歩く匠に近寄れずに歩く。


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