~fault~私だけが・・・
途中つまずいた私の手を静かに取った匠だけど思わず手を引っ込めてしまう。

「見えてねーんだからあぶねーだろ。ごめんオレが悪かったったから手、よこせよ」

今度は自分の手をそっと差し出した。
この間みたいに私次第の状況を作るけど、もう振り回されたくないからその手は取りたくない。
でも見えていないのは事実だからこの暗がりを歩くのは正直怖い。
そんなことを理由にしないともう触れることが出来なくなってしまった匠の手を取る。

瞬間にギュって包まれるとこんな状況でも安心してしまう。
でもこれは匠にだけじゃなくて新にも樹にも央にも感じることときっと何も変わらない。

そのあとサークルの部屋に行くと「やっぱすげーなインテリサークル」って笑った。
インテリじゃなくてインテリア。部屋の中はみんなのアイデアが所狭しと並んでいる。
ソファーに腰かけた匠が「あーーーーー」って声を出したと思ったらゴソゴソしていて
笑いながら上げた手には私のメガネ。

「ありがとう。」
「笠間さんに買ってもらったのだもんな」
「あ、、ん・・・」

今使っているメガネは3年になったお祝に『いつもそばにいたいから』って甘ったるい言葉と一緒にプレゼントしてもらったもの。
この間BARで酔っぱらって自慢したよね私・・・
も、、、、何もかもが苦しくて、匠と普通で居られないことがこんなにも苦しいなんて思わなかった。

これが過ちの代償なのかな。





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