芸能人の幼なじみと、内緒のキスしちゃいました。



「おかえり」


「……え、あ」


"ただいま"って返したらいいだけなのに、悝世の姿を見て声を聞いたら。



「えま?」


「っ、」



……意識しないほうが難しくて。



なんでわたしばっかりが意識してばっかりで、悝世はなんともないような態度なの…?



いつまでも中に入ってこないわたしを不自然に思ったのか、悝世がこちらに近づいて。



「……びしょ濡れじゃん。
早く着替えないと風邪ひくよ」



腕をつかまれて、そのままリビングに連れていかれる。


そしてすぐに悝世がタオルを取ってきてくれて、頭にバサッと被せられて。




「あ、ありが……きゃっ」


お礼を言ってる途中だったのに。



「……ほんと依茉って危機感ないよね」


「へ……っ?」



背後にフッと悝世の気配。


真後ろから耳元に悝世の声がよく聞こえて。



「……自分が今どんな格好なのか自覚してんの?」

< 130 / 359 >

この作品をシェア

pagetop