芸能人の幼なじみと、内緒のキスしちゃいました。
瑠衣くんの……大きな手が視界を覆った。
「なん、で……」
「すごい切なそうな顔してるから」
あぁ、わたしそんなわかりやすい顔してたんだ。
気持ちは押しつぶされそうだし、表情にも出ちゃうし。
今ここに悝世がいなくてよかったって思う。
「ほんとはさ、悝世が女の子と撮影するの俺知ってたんだよね。だから悝世が今日依茉ちゃんを呼んだのはなんでかなって」
「わかん、ない……」
「そうだよね。
ごめんね、つらいのに変なこと聞いて」
そんなことないよって意味を込めて首を横に振った。
「……もしかしたら、依茉ちゃんに嫉妬してほしかった…とか」
「え……?」
「あー、今のは聞かなかったことにして」
そこで会話は途切れてしまって、瑠衣くんのおかげで今も2人は視界から遮られたまま。
でも、シャッターが切られる音がするたびに2人は今どれくらいの距離なんだろうとか、どんなシーンを撮ってるんだろうとか気になるばかり。