芸能人の幼なじみと、内緒のキスしちゃいました。
『……かっこいい人』
『いや、具体性なさすぎ』
『か、髪が明るくて、背がものすごく高くて、シルバーピアスとかが似合う女の子たちみんなが騒ぐようなかっこいい……モデルみたいな人がいい……!』
見事に、その頃の悝世とは正反対のことを並べてしまった。
完全にただの強がり。
素直になれなかっただけ。
中学の頃の悝世といえば、髪は染めずに真っ黒で、おまけに背もそんな高くなくて。
ピアスなんかしてるわけもなく。
『へー……。
依茉はそーゆー男がタイプなわけね』
まさかわたしのこの発言を本気にするなんて、この頃は微塵も思っていなくて。
でも、その1年後。
突然悝世から告げられたこと。
『俺さー、モデルやる』
まさかまさか。
あの何事にもやる気がなくて、面倒くさがり屋の悝世がそんなことを言うなんて。