芸能人の幼なじみと、内緒のキスしちゃいました。
「……俺が中にいると思ったから入らなかった?」
「っ、」
図星。
いつもそうだけど、嘘をつくのが苦手で頭の回転も遅いから言い訳すら思いつかなくて言葉に詰まるばかり。
「……そんなあからさまに気まずそーな顔してたら何かあったのかって思うけど」
「別に、何もない……よ」
少しの沈黙。
なんでこんなにうまくいかないの。
ただ、悝世のことが好きで幼なじみ以上の関係になりたいと思ってるだけなのに。
そう思えば思うほど、自分が素直になれなくて、どんどんこじれていくばかり。
気まずさから、目線が地面に落ちたとき。
「あらー?もしかして依茉帰ってきたのー?」
リビングのほうからこの場の空気に似合わない陽気な声が聞こえてきた。
この声……もしかして。