芸能人の幼なじみと、内緒のキスしちゃいました。



走ってきた……のかな。


荷物もわたしの分まで持ってきてくれて。

さっきまで腕がとれそうとか言ってたのに。


そのままわたしが座っているソファのほうまでズンズン近づいてくる。



そして、そのまま優しく上から抱きしめられた。


悝世の心臓の音がいつもより速くて。
おまけに、少しだけ汗をかいてるような。


普段、ものすごくマイペースで慌てたり焦ったりすることはないのに。



「なん……で、抱きしめるの?」


「依茉が拗ねてるだろうと思って」


「どうして、そう思ったの……?」


「昔から俺のこと無視したりするときはだいたい拗ねてるときだから」


「うぅ……」


ぜんぶ悝世にはお見通し。



昔から悝世は他人に興味がなくて関心がないくせに、わたしのことだけは誰よりも理解してて、ささいなことでもすぐに気づいてくれて。


それって、幼なじみだから特別に見えるだけなのかな…?

< 72 / 359 >

この作品をシェア

pagetop