俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
『初任務、しくじったんだって? 不出来なアリュースを心配して、今以上に個人的な指導をするおつもりなんじゃないか。同部屋なら、いちいち呼び出す手間を省ける。寝る間を惜しんでしごくお考えなんだよ。まったく羨ましいな』

(か、代わってほしい……)

部屋替えをさせられた日のことを思い返しながら、アリスはベッドに身を起こす。

ここは、窓はあるが、廊下へ出るドアはない。

隣の広い部屋との出入り口に扉はなく、姿は見えずとも、騎士団長がいる気配を感じる。

アリスのベッドと、元からあるキャビネットがひとつ置かれた小さめのこの部屋は、これまで騎士団長が寝室として使っていた。

アリスに譲ってからは、広い方の部屋にベッドを移動し、居住空間は一応、分けられている。

アリスは寝間着を脱いで、騎士服を手に取る。

以前の四人部屋ではカーテンに隠れて着替えをしていた。

それに比べたら着替えやすくなったとはいえ、隣室との境に扉がないので、気を緩めることはできない。

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