俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
(気持ちいい。馬術は遊んでるみたいだ。このままここを出て、緑の中を駆けたくなる……)

アリスが課題を難なくクリアして、スタート位置まで戻ると、他の騎士たちから拍手が沸いた。

「見事な手綱さばきだ」

「タイミングの捉え方がいい。馬も安心しているのがよくわかる」

そのような褒め言葉に、頭を掻いて照れるアリスだが、否定的な意見もある。

数人が面白くない顔をして、声を上げる。

「乗馬だけうまくても、剣が扱えなくては戦力にならないだろ」

「騎馬で戦えなくては意味がない」

(そうよね。剣はどうしても男の人に力負けしてしまう。でも……)

アリスは昨夜のことを思い出していた。

ロイ騎士団長は、文字や数の勉強だけではなく、アリスに合った戦い方も教えてくれる。

まともに剣を交えれば、アリスの場合、負けてしまうので、すばしっこさを生かして逃げ回り、相手をイラつかせろと言われた。

気持が乱れたら、隙も生まれる。

アリスの持久力が勝り、相手が息を切らせば、それも攻撃に転じるチャンスである。

これは馬がない時の戦術で、騎馬戦なら、最初から積極的に攻めていいとも言われた。

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