俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
馬の駆ける力を利用したら、小柄なアリスでも、剣に大きな力を与えることができるからだ。

思い出した騎士団長の言葉に背中を押され、アリスは馬上から意見してみる。

「騎馬戦なら、僕だって、戦力になれると思います」

どこからか、鼻で笑う声がした。

騎乗していない騎士たちを手で掻き分けるようにして、アリスの前に出たのは、グレンである。

グレンは狐目でえらの張った顔をした、二十五歳の正騎士だ。

アリスがひとりだけ走り込みや筋力トレーニングばかりをやらされていた時に、何度か指導役としてついてくれたが、性悪な印象が否めない。

騎士団長は、アリスを早く一人前にしようという思いから、時に意地悪だと誤解するほど厳しかったが、グレンは違う。

訓練メニューの回数をむやみに増やすばかりで、まともに教えてはくれず、面倒くさそうな目で見られた。

最近では、『邪魔なんだよ。さっさと辞めちまえ』『いくらやっても無駄だ』とアリスの意欲をそぐような言葉まで浴びせてくるようになった。

初任務の失敗が原因でそんなふうに言うのかと思ったが、もしかすると騎士団長と同室になったことが気に入らないのかもしれない。

< 109 / 228 >

この作品をシェア

pagetop