俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
能力不足の見習いが目をかけられていることに、納得いかないのだろう。

(グレンさん、王都の見回りから、今戻ってきたのかな。なるべくなら、会いたくなかった……)

グレンは睨むようにアリスを見た後、ニヤリとした。

その笑い方は、なにかを企んでいるかのようだ。

「騎馬戦なら戦力になれるという言葉、証明してもらおうじゃないか。俺とやり合え。負けたら発言を撤回し、土下座で詫びろ」

「えっ……」

騎馬戦の訓練自体、まだ十回ほどしか経験がないというのに、正騎士と試合をするのは無謀に近い。

敗戦を予感してグレンを恐れるアリスだが、他にも心配事はある。

困り顔で振り返れば、騎士たちが障害物のコースに次々と馬を走らせている。

アリスとグレンの騎馬戦によって、他の騎士たちは訓練を中断しなければならなくなる。

加えて、勝手なことをしては、日々の訓練メニューを決めている騎士団長に叱られそうだ。

指導役の正騎士も、許可してはくれないだろう。

(それなら、やらなくてもいい話になるのかな……)

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