俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
医務室の窓から医師長が覗いていたことを思い出した。

なぜ助けてくれないのかと思ったが、騎士団長を呼びにいってくれたらしい。

騎士団長は自嘲気味に笑って言葉を続ける。

「この俺が、あれほどまでに焦るとはな。きっと執務机の上の書類は床に散乱したままだろう。自分でも驚いている」

その打ち明け話に、アリスは首をゆっくりと横に倒した。

戦闘中でも冷静に。焦りや気持ちの高揚は、判断を鈍らせる。

それが騎士団長の考え方だと知っている。

アリスがグレンに迫られていると聞いて、焦っている様子をうまく想像できなかった。

不思議に思うアリスを、騎士団長が瞳を細めて見つめる。

「俺は、お前を渡したくない。グレンにも、他の男にも」

(それって……)

アリスは目を見開き、口から心臓が飛び出しそうになっている。

騎士団長が口にしたのはアリスへの好意で、それを聞いても喜べないほどに驚いていた。

「あの」と三度呟いてから、信じられない思いで問う。

「ロイ騎士団長も、グレンさんと同じなんですか? 騎士団の中では、男同士の恋愛は当たり前なのでしょうか?」

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