俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
すると、不愉快そうに眉を寄せられ、睨まれてしまった。

いささか失礼な質問だったかとアリスがヒヤリとしたら、騎士団長が立ち上がり、アリスの左隣に座り直した。

長椅子の背もたれの縁に片腕をかけ、もう一歩の手でアリスの顎をつまみ、自分の方へ顔を向けさせる。

わずか拳三つ分の距離で見つめ合い、アリスは顔に熱が集中するのを感じていた。

「ここまで言っても、まだバレていないと思うのか?」

呆れ声の問いかけに、アリスはまさか……と肝を冷やした。

「騙されたふりを続けるつもりだったが、状況が変わった。お前が他の男に誘われてなびかぬよう、言っておこう。お前は女だ。前から知っていた」

騎士団長は、コズメルとの戦いでアリスが女であることを知ったと言う。

騎士服の胸元を、中のサラシまで切られた気がしたのは、思い違いではなかったらしい。

脳震盪で意識を失ったアリスを詰所に連れ帰り、医師長と相談して着替えさせた……という話であった。

「身元も調査した。お前は十五歳のアリュースではなく、十八歳のアリス・ブラウンだ」

胸を見られたという恥ずかしさより、アリスは恐怖に青ざめた。

< 152 / 228 >

この作品をシェア

pagetop