俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
アリスは腹筋を中断して医師長を見上げ、指導役の正騎士は敬礼している。

騎士団での個々の序列をまだ把握しきれていないアリスだが、どうやら医師長の方が階級は高いようである。

「ちょっと立ってごらん」とにこやかに声をかけられ、アリスは従う。

その際に呻いてしまった。

連続して同じ運動を繰り返す分にはまだいいが、休憩後や体勢を変える時には、腕や足、背中の筋肉が特に痛む。

アリスがなにも言わずとも、「筋肉痛がつらそうだね」と理解してくれた医師長は、指導役の正騎士に顔を向ける。

「このくらいの歳の子にやりすぎはよくない。かえって成長を妨げる。今日の訓練は終了させるよ」

「しかし、ロイ騎士団長が……」

「大丈夫。エドガーには僕から話しておくから」

夕暮れにはまだ二時間ばかり早いというのに、訓練を終わらせてくれて、アリスは歓喜した。

(医師長は神様みたい。意地悪なロイ騎士団長とはえらい違い……ん?)

医師長が騎士団長をエドガーと呼んだことに気づき、目を瞬かせる。

(医師長の方が騎士団長よりも上の階級なの? それはないと思うんだけど……)

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