俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
そこは土間と続いている板間の食堂で、家族全員分の簡素な木の椅子と横長のテーブルが置かれているだけの質素で狭い部屋である。
日に焼けた肌に細身の体をした父親が、ひとりで椅子に座っており、テーブル上で組んだ手の人差し指同士を戦わせるようにしてうつむいていた。
(落ち着かない手ね。今日は午後から村長に呼び出されていた。なにか嫌なことを言われたのかな……)
よれたハンチング帽の鍔が邪魔をして、ここから表情は見えないが、困っているような雰囲気である。
馬貸しで得た収益の取り分を、さらに引き上げる話をされたのではないかと予想し、アリスはげんなりする。
すると父親がこちらに顔を向けた。
その目はなぜかアリスを直視せず、左右に動いている。
「あー……アリス、話があんだべ。こっちに来て座ってくれ」
「うん……?」
二番目の兄も弟たちもまだ帰宅していないが、自分だけを相手に困りごとを話されるのが不思議である。
なんとなく嫌な予感を覚えつつ、アリスが向かいの席に座ると、父親がボソボソと話し出す。
「村長に呼び出されたのは、あれだ。デイブさんのことなんだべ」
日に焼けた肌に細身の体をした父親が、ひとりで椅子に座っており、テーブル上で組んだ手の人差し指同士を戦わせるようにしてうつむいていた。
(落ち着かない手ね。今日は午後から村長に呼び出されていた。なにか嫌なことを言われたのかな……)
よれたハンチング帽の鍔が邪魔をして、ここから表情は見えないが、困っているような雰囲気である。
馬貸しで得た収益の取り分を、さらに引き上げる話をされたのではないかと予想し、アリスはげんなりする。
すると父親がこちらに顔を向けた。
その目はなぜかアリスを直視せず、左右に動いている。
「あー……アリス、話があんだべ。こっちに来て座ってくれ」
「うん……?」
二番目の兄も弟たちもまだ帰宅していないが、自分だけを相手に困りごとを話されるのが不思議である。
なんとなく嫌な予感を覚えつつ、アリスが向かいの席に座ると、父親がボソボソと話し出す。
「村長に呼び出されたのは、あれだ。デイブさんのことなんだべ」