俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
「ああ、ごめん。エドガーが、好きな相手にまたふられてると思ったらおかしくて」
「好き!?」
「そうだよ。エドガーは君を気に入ったようだ。だからこそ厳しい訓練を課している」
そう言われても、アリスには意味がわからず、戸惑うのみ。
気に入っているというのなら、なぜ意地悪されるのだろうと思うからだ。
首を傾げたアリスをクスリと笑った医師長は青空を見上げながら、「エドガーはね」と語りだした。
* * *
エドガーは、王都から西へ遠く離れたハミルトン伯爵領の出身である。
伯爵家に仕える執事の息子で、自身も子供の頃から使用人として伯爵邸で働いていた。
その仕事内容は、給仕や御者、馬番に護衛、家人が外出する際には荷物持ちをするなど、なんでもだ。
エドガーが十歳の春のこと、伯爵家の雌馬たちが次々と仔馬を産んだ。
そのうちの一頭は乳を飲むのが下手で、他の仔馬に比べて成長が遅れていた。
ついにはふらついて立てなくなり、伯爵が処分を決めてしまう。
馬は愛玩動物ではなく、人や荷を運ぶために飼育している。
使えない馬を飼い続けることに意味はなく、仕方のない決定であった。
「好き!?」
「そうだよ。エドガーは君を気に入ったようだ。だからこそ厳しい訓練を課している」
そう言われても、アリスには意味がわからず、戸惑うのみ。
気に入っているというのなら、なぜ意地悪されるのだろうと思うからだ。
首を傾げたアリスをクスリと笑った医師長は青空を見上げながら、「エドガーはね」と語りだした。
* * *
エドガーは、王都から西へ遠く離れたハミルトン伯爵領の出身である。
伯爵家に仕える執事の息子で、自身も子供の頃から使用人として伯爵邸で働いていた。
その仕事内容は、給仕や御者、馬番に護衛、家人が外出する際には荷物持ちをするなど、なんでもだ。
エドガーが十歳の春のこと、伯爵家の雌馬たちが次々と仔馬を産んだ。
そのうちの一頭は乳を飲むのが下手で、他の仔馬に比べて成長が遅れていた。
ついにはふらついて立てなくなり、伯爵が処分を決めてしまう。
馬は愛玩動物ではなく、人や荷を運ぶために飼育している。
使えない馬を飼い続けることに意味はなく、仕方のない決定であった。