俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか？～

アリスは察しがいい方ではなく、なぜ馬の話をされたのかとしばし考えてから口を開く。

「僕がその仔馬と同じということでしょうか。ロイ騎士団長は、僕を立派な騎士に育てようとしている……？」

疑問になってしまったのは、半信半疑でいるからだ。

虐めて追い出そうということではなく、育てようとしてくれていたのだと考えれば、アリスだけの特別な基礎訓練や食事量を増やされたことは、騎士として必要な体を作るためだと解釈できる。

けれども、やりすぎな感は否めず、訓練後のヘトヘトになった状態で皿洗いや掃除までやらされるのだから、嫌がらせという思いをまだ消すことはできない。

「雑用の命令は、やっぱり意地悪なんじゃないかな……」

アリスは難しいことを考えるのが苦手である。

頭の中を整理しようとブツブツ呟いていたら、医師長が答えをくれた。

「二百人分の皿洗い、大変だよね。でも悪くとらないで。それも君のためなんだよ」

アリスは仮入団の見習いであるが、そのような入団方法は本来、騎士団の規定にはない。