俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
冷や汗を流しつつ、顔だけ振り向いたアリスに、医師長が穏やかな口調で言う。

「エドガーのこと、信じてやって。言葉足らずなだけなんだ。優しい奴だと、そのうち君もわかると思う」

「はい……」

そうは言われても、今のアリスには優しさまで感じることはできない。

呻くほどの体の痛みを思えば、厳しく容赦のない上官だというイメージを拭えないのだ。

(育ててくれようとしているのはわかったけど、訓練メニューは優しくない。明日もきっと、筋力トレーニングと走り込みばかりなんだろうな……)

宿舎の方へ歩きながら、嘆息するアリスであった。


夜も更け、男性ものの寝間着姿のアリスは、自分のベッドに腰掛けている。

新入団の者で四人部屋を使用しており、アリスのベッドは、部屋に入って左の窓側である。

一メートルほど離れた隣のベッドを使うのはパトリックで、横になって本を読んでいた。

他のふたりの従騎士は、二十歳と二十一歳で、アリスやパトリックより少し年上だ。

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