俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
隣合うベッドに座っている彼らは、掃除や洗濯をしてくれるメイドの話をしており、何人かの名前を挙げて、顔の造作や体つきなどを興奮気味に評価していた。

(またスケベな話をしてる。男って常にそういう目で女の子を見ているのね。同期入団の仲間として気さくに接してくれるいい人たちだけど、こういう話題には入っていけないな……)

その程度の困り方で、嫌悪感を抱いたりしないのは、男兄弟の中に女がひとりという環境で育った影響かもしれない。

兄弟たちも、たまにそのような話をしていたからだ。

あくびをしたアリスは、筋肉痛を気にしてそろそろと毛布に潜り込み、枕に頭をつける。

医師長のおかげで午後は早めに訓練を終わらせることができたけど、空いた時間は宿舎の廊下に雑巾がけをしたり、馬房の敷き藁を交換させられたりしたので、結局重労働であった。

もちろん二百人分の皿洗いもだ。

(この筋肉痛、治るのかな。体の痛みさえなければ、少しは楽な気持ちで頑張れるのに……)

読書中のパトリックの横の壁にだけ、火を灯したオイルランプをつるしているため、部屋の中は薄暗い。

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