俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか？～
その名を聞いたとたんに、アリスの鼻の付け根に皺が寄る。

デイブは村長の息子で、二十歳。

少し歩くだけで息切れするほど太っており、狐目にじゃがいものような鼻、いつも手には棒つきのキャンディーを持っている。

はっきり言って醜い男なのだが、アリスが嫌っている理由はその性格にあった。

村長の息子というだけで偉そうな態度を取り、村人たちを下に見る。

お前はどこのお貴族様だと言ってやりたくなるような横暴さなのだ。

村長の家は村一番の金持ちであるため使用人を雇い、デイブが働いている姿を見たこともない。

アリスは不愉快さを隠さずに父親に意見する。

「なんでデイブの話なんかするのよ。私が苦手なの、知ってるでしょ？」

性格や容姿を嫌っているだけではなく、アリスはデイブから直接的な迷惑も被っていた。

アリスは顔立ちが可愛らしい。

成長とともに村の若い男たちがアリスに興味を持ち、赤い顔をして話しかけてくるようになった。

デイブも同じだ。

週に三度は、フウフウ言いながら、アリスに会いにやって来る。

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