俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
ドアの隙間に明かりが見えたり、話し声が漏れたりしている部屋もあるので、まだ大半の騎士が起きているようだ。

足音を気にせずに廊下を駆けて、騎士団長の部屋の前にたどり着く。

そこは二階の最奥で、ひとり部屋だ。

正騎士になればひとり部屋を許されるそうだが、騎士団長の部屋は二部屋続きで、特別に豪華だと聞いた。

ドアも他の部屋の簡素な木目のものとは違い、縁に装飾が施され、取っ手は金色に輝いている。

緊張しながらノックして、「アリュースです」と声をかければ、「入れ」と低い声の返事が聞こえた。

「失礼します……」

部屋に入ると、壁と机上、二か所にあるオイルランプが周囲を照らし、室内は明るい。

広さはアリスたちの大部屋と同じくらいだが、スペースに余裕を感じるのはひとりで使用しているからだろう。

左奥には火の入っていない暖炉があり、その前には長椅子二脚を備えたテーブルセットがある。

右側は執務机や書棚、柱時計が置かれており、さらに奥に続き間への入口が見える。

ドアはなく、ベッドの足元の方が少しだけ確認できた。

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