俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
焦りを解いたアリスだが、安心するにはまだ早い。

「下着もですか……?」と恐る恐る尋ねれば、眉間に皺を寄せられる。

「上着とズボンのみだ」

常識で考えろと言いたげな目で見られてしまったが、アリスはホッと息をつく。

(それなら、なんとかごまかせそう。胸にサラシを巻いているし、男物の下着だもの。女だとわかりっこない……)

とは言え、男性の前で下着を見せることに抵抗はある。

もじもじしながら騎士服を脱ぎ、半袖の薄い貫頭衣と、太腿の中ほどまでの長さの白い下着姿になる。

脱いだ服は抱えて、体を隠すように猫背気味に立った。

恥ずかしさに鼓動は速まり、騎士団長の顔を直視できない。

すると、騎士服を奪われ、床に落とされる。

「あっ」と声をあげたアリスに、「女みたいに恥じらうな」と呆れ声の命令が下された。

「すみません……」

緊張と羞恥に耐えて、アリスは姿勢を正してじっとしている。

腕組みをした騎士団長は、上から下までアリスの体に視線を流すと、大きな手でアリスの上腕を掴んだ。

生肌に触れられてビクリと体を震わせたら、「動くな」と叱られた。

「はい……」

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