俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
腕を曲げ伸ばしさせられながら、筋肉の太さを確認されている。

太腿やふくらはぎも掴むように触れられ、最後に貫頭衣を胸の下までまくられた。

(腹筋も見るの? 恥ずかしい、こんなところを触られたら……)

アリスの白く滑らかな腹部に、騎士団長の男らしい指先が触れた。

「んっ」と甘い声をあげてしまい、慌てて言い訳をする。

「すみません、くすぐったくて……」

それに対し、「我慢しろ」と淡白に受け流した騎士団長は、アリスの胸にサラシが巻かれているのに気づいたようだ。

「なんだこれは。怪我をしているのか?」

「ち、違います。これはその、鎌で切った古傷がありまして、もう治っているんですけど、巻いていると安心するんです」

またしてもヒヤリとさせられたアリスだが、嘘の説明で納得してくれたようで、サラシを取れとは言われなかった。

手を離した騎士団長は、渋い顔をして、アリスを見下ろす。

「筋肉量は増加しているが、期待していたほどではない。ここまでやらせているというのに、なぜだ……」

腕組みの姿勢から顎に右拳を添え、騎士団長は考え込む。

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