俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
「不純な動機ですみません」

追い出される不安を感じて謝れば、フッと笑ったような息が腕にかかった。

「騎士たちはそれぞれの事情があって入団してきた。お前のように職を求めてという者も少なくない。俺も子供の頃から、騎士になりたかったわけではない」

一瞬、意外に思ったアリスだが、すぐに医師長の話を思い出す。

「医師長と離れたくなかったんですよね? 寂しがり屋だと聞きました」

「フランの奴、そんなこと言ったのか。寂しくて追いかけたわけじゃないぞ。競う相手のいない日々に退屈しただけだ」

競う相手というのは、医師長のことだろう。

不満げな言い方ではあるが、医師長との仲のよさが伝わってきた。

腰にもオイルを擦り込まれた後に、仰向けになるよう言われる。

それに従えば、すぐ横に凛々しい顔があり、息をのむ。

ドア横の壁と机上ではオイルランプが明るく周囲を照らしているが、長椅子周辺までは届きにくい。

薄暗さの中、至近距離で見る騎士団長は、怪しいまでに麗しい。

腹部にオイルを垂らされ、ヌルリとした蠱惑的な刺激に身をよじりたくなる。

< 59 / 228 >

この作品をシェア

pagetop