俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
医師長の名は、フランシス・ハミルトン。
ハミルトン伯爵家の子息と使用人という間柄であったふたりだが、兄弟か親友のように育ったと話してくれたことは、まだ記憶に新しい。
あの時より騎士団長の過去に興味を引かれるのは、アリスの気持ちが以前と変わってきているせいなのか。
「お願いします」
背筋を伸ばして真剣に聞く姿勢を取ると、医師長は「硬い話じゃないよ。楽にして」と笑って話してくれる。
* * *
それはふたりがハミルトン伯爵領で暮らしていたある夏のこと。
エドガー・ロイは体の成長が早い方で、十六ともなれば青年らしさが漂っていた。
加えて美麗な顔立ちのため、彼が近くを通ると、年頃の娘たちは揃って頬を染めた。
伯爵の使いでエドガーが町に買い物に出れば、頼まれた品物以外に、パンや菓子、野菜に卵、切り花に刺しゅう入りのハンカチなどを困り顔で持ち帰る。
それらは町娘からの贈り物で、エドガーの興味を引くために他ならない。
彼に好意を抱くのは町娘だけではなく、伯爵邸で住み込みで働いているメイドたちもである。
ハミルトン伯爵家の子息と使用人という間柄であったふたりだが、兄弟か親友のように育ったと話してくれたことは、まだ記憶に新しい。
あの時より騎士団長の過去に興味を引かれるのは、アリスの気持ちが以前と変わってきているせいなのか。
「お願いします」
背筋を伸ばして真剣に聞く姿勢を取ると、医師長は「硬い話じゃないよ。楽にして」と笑って話してくれる。
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それはふたりがハミルトン伯爵領で暮らしていたある夏のこと。
エドガー・ロイは体の成長が早い方で、十六ともなれば青年らしさが漂っていた。
加えて美麗な顔立ちのため、彼が近くを通ると、年頃の娘たちは揃って頬を染めた。
伯爵の使いでエドガーが町に買い物に出れば、頼まれた品物以外に、パンや菓子、野菜に卵、切り花に刺しゅう入りのハンカチなどを困り顔で持ち帰る。
それらは町娘からの贈り物で、エドガーの興味を引くために他ならない。
彼に好意を抱くのは町娘だけではなく、伯爵邸で住み込みで働いているメイドたちもである。