シンフォニー ~樹
4
初めて健吾に会った樹は 健吾の目に 自分と同じ思いを感じた。
ずっと絵里加を 思っていた者の瞳。
そっと絵里加を見つめて、いつでも絵里加を助けたい。
絵里加の 喜ぶ顔を見る為なら、なんでもできるという瞳。
樹の心に、負けを認める思いが湧き上がる。
樹と絵里加は 従兄妹だから。
ずっと兄弟のように一緒に育ったから。
だけど健吾は他人なのに。
樹と同じように 絵里加を 見守り続けていたとしたら、敵わないと思った。