シンフォニー ~樹
残された恭子は お祖母様の手を握り 麻有ちゃんに電話をする。
「絵里ちゃんママ、大変なの。お祖父ちゃんが倒れたの。すぐ来て。」
恭子は 涙を溜めながら 震える声で叫ぶ。
でも
「お祖母ちゃん、大丈夫だからね。」
と震えるお祖母様を 励まし続ける恭子。
「恭子ちゃん、どうしたの。」
すぐに駆け付けた 麻有ちゃんを見た途端 恭子は 大粒の涙を流して 事情を説明する。
「恭子ちゃん、ありがとう。恭子ちゃんが いてくれて 助かったわ。」
しゃくりあげる恭子に 麻有ちゃんも 青ざめた顔で言う。
そして 智くんに連絡をした後 恭子の肩に手を置き 目を見て言う。
「恭子ちゃん。よく聞いて。今から 車を持ってくるから。恭子ちゃんは 戸締りをお願いね。お祖父様は カッ君の病院に 運ばれるはずだから。私達も 向かいましょう。パパが 会社のみんなには 連絡してくれるからね。恭子ちゃんは お祖母様をお願いね。」
そして、
「お母様。今 車を持って来るからね。少し恭子ちゃんと 待っていてね。」
と言って、急いで出て言った。
「お祖母ちゃん。奥の戸締り してくるからね。ちょっとだけ 待っていてね。」
恭子は シャツの袖で 涙を拭いながら 走り回る。
麻有ちゃんは すぐに戻ってきて 3人で病院に向かう。