シンフォニー ~樹
病院に着くと 救急待合室に 樹の両親と智くん 絵里加がいた。
お祖母様を 絵里加に託した恭子の肩を 麻有ちゃんが そっと抱いてくれた。
「今、処置をしているけれど。かなり 厳しい状況らしい。」
父の言葉に 恭子は 手で顔を覆う。
「樹とケンケンは 営業に出ていて。連絡は着いたから。今向かっているよ。壮馬にも 連絡したから。壮馬も 向かっているから。」
と智くんが みんなに言った。
みんな 無言で頷く。
長椅子に 並んで腰かけて。
一番端に そっと座る恭子は 衝撃と動揺で 微かに震え続ける。
みんなが無言で。
ただ、処置室を見つめて。
そっと 処置室のドアが開き 出てきた翔が 静かに言う。
「心筋梗塞らしい。」
「それで。どうなんだ。」
と言う父に 小さく首を振り、
「多分、あと二、三日。」と言った。
その後 出てきた医師に 父と智くんが 説明を受け お祖父様は 病室に移される。
機械に 繋がれたお祖父様。
意識はなく。静かに目を閉じている。