シンフォニー ~樹
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思いやりと 愛情に溢れた家族の 神聖な涙を止めたのは 父だった。
思いっきり 鼻をかむ大きな音に みんなの涙が止まる。
「ちょっと。」と言う母の声と
「お父さん。」
と言う樹の声が重なる。
そして、みんなが フッと微笑む。
それを 満足そうに見つめる お祖父様の笑顔が見える気がした。
明るい笑顔が 大好きな お祖父様だったから。
みんなも 同じように感じたのだろう。
リビングの空気が 悲しみから 温かい微笑みに変わった。